大神神社と狭井神社(1)
大神神社
大神(おおみわ)神社は三輪明神とも呼ばれ、日本で最古の神社と言われています。祭神は国造りの神様であり、種々の産業を発展させると信じられています。なかでも製薬業や酒造業には厚く敬われています。
三輪山がご神体であるため、拝殿はあっても本殿はありません。拝殿の前で二礼二拍手一礼をして、つぶっていた目を開けると、拝殿の片隅に設置されている説明版が目に入ってきました。そこにはこんな文字が書いてありました。
「鎮魂詞(いのりのことば)
幸魂(さきみたま) 奇魂(くしみたま)
守給(まもりたま)へ 幸給(さきはへたま)へ
三輪の神様には ご祈念のあと
右のいのりの詞を 三回お唱え下さい」
この言葉を読んで、私はドキッとしました。祈りの言葉の本質のように感じたからです。幸魂(さきみたま)は「人に幸せを与える神霊であり、収穫をもたらす」と言われています。また、奇魂(くしみたま)は「不可思議な力によって人に幸せを与える神霊」とのことです。このことから私は、幸魂(さきみたま)は努力して幸せになること、奇魂(くしみたま)は不可思議な力によって幸せになること、と理解できると思ったのです。
いろいろなことに努力して、願いが成就し、幸せになることを人々は望みます。また、努力ではどうにもならない場合、神様に不可思議な力で実現してもらい、幸せになれるよう人々は願います。それが宗教の祈りの言葉ではないかと考えさせられました。
三島由紀夫著『奔馬』
三島由紀夫の絶筆となった本『豊饒の海』。その第2巻の『奔馬』に大神神社が出てきます。大神神社の紹介文章として素晴らしいものです。また、三島由紀夫の神道への思いも垣間見れるものです。
「官幣大社大神神社は、俗に三輪明神と呼ばれ、三輪山自体を御神体としている。三輪山は又単に『お山』と称する。海抜四百六十七メートル、周囲約四里、全山に生い茂る杉、檜(ひのき)、赤松、椎(しい)などの、一木たりとも生木は伐(か)られず、不浄は一切入るをゆるされない。この大和国一の宮は、日本最古の神社であり、最古の信仰の形を伝えていると考えられ、古神道に思いを致す者が一度は必ず詣でなければならぬお社である。」
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