ほっと一息:唐招提寺の団扇撒き
●ほっと一息
・難しい話が続きましたので、今回はほっと一息つきましょう。5月19日は奈良・唐招提寺で「団扇撒き」の年中行事があります。当日に撒かれる団扇および過去に撒かれた団扇に書いてある言葉や絵がとても胸を打ちますので、以下にご紹介いたします。なお、この内容は拙著『奈良のこころ 奈良・西ノ京から』より一部抜粋したものです。
●団扇の言葉と絵
“団扇に書かれている言葉や絵の中で、私の印象に強く残っている扇面は歌手の三波春夫氏が書いたものです。特に「人は苦難を超えて真実に出逢う」と「友好の歌声は海を渡り空を翔ぶ」と書かれた団扇が好きです。鑑真和上の日本への渡航と貢献、そして三波春夫氏の人生経験が重なって書かれた言葉のように思うからです。三波春夫氏が戦争でシベリアに抑留されていたということを知り、この二つの言葉はズシリと心に響きました。
それから、千手観音の御手の扇面が良かったです。手首をちょっとひねって瓶を持っている手だけの絵で、「香水无量(こうずいむりょう)」と添え書きされています。香水とは薬であり、飲んだら死なない霊水、すなわち救いの源である「仏様の教え」を意味しているのでしょう。そして无量とは量がはかり知れないほど多いということですから、仏様の功徳は限りなく大きいということなのだと思います。一本の手、それも手首から先だけで、仏様の無限の慈愛を感じさせられました。
その他、多くの印象深い言葉がありました。主なものを書いておきます。
女優の南田洋子氏書「人生 生きちょるだけで 丸儲け」
作家の杉本苑子氏書「力耕 われを 欺かず 陶 渕明」
女優の司葉子氏書「微笑に 勝る 美しい化粧 なし」
考古学者の森浩一氏書「牛歩万里」
詩人の大岡信氏書「一羽でも 宇宙を満たす 鳥の声」
絵で印象に残った主なものは次の通りです。
歴史学者の直木孝次郎氏筆「唐招提寺金堂」
画家の山中のり子氏筆「千手観音」“
●団扇撒きの詳細
・団扇撒きの情景については、当ブログの『唐招提寺の団扇撒き・・・【萬世同薫】の「第一章 千手より』をご覧ください。なお現在の団扇撒きは、参加者の安全のために参加者数が制限されています。
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